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アクティビスト、フェミニスト、クィアとして活動するとある外国大学関係者の生活の中からの視点。(C)flowfree 初めて寄られる方は、カテゴリ:管理人、の”こんにちは”を読んで下さい


by flowfree
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大学教員のある様々な恋愛

大学の教授で異性愛ではない人物というのは珍しくはない。特に学部にもよるが
sociel science (社会学など)、humanity(文学など)ではありふれていて、
教員同士、あるいは教員と生徒同士のレズビアン、ゲイの恋愛なんていうのは見つかったらとんでもないことになるのだが時々聞く。実際、日本のある大学(留学生が多くいる)での外国人レズビアン教員不倫というのも知り合いを通じてかなり詳しく数年前聞いた。同性愛がとうとう北米では合法化されてきている現在、そうなるまでの経過でこういったインテリの同性愛は良くあるはなし、という日常化という背景もあったりするのである。
(しかし同じ大学でもお固い学部では自分は異性愛者ではない、などと口が裂けても言えないという状況もある。研究費、人員などと一緒で学部に寄って色々な事が違うのだ)。

そして筆者が学部生の時から異性愛者ではない教授や生徒に囲まれ、ルームメートも持ち、色々と話を聞いたり見たりするうちに異性愛、同性愛というのは単にこの人間が合うか、合わないかの延長線なのでは?と筆者は感じるようになった。だっていつも尊敬する教授に異性愛(ヘテロ)もいればレズビアンもいるのである、確実に。そしてとっても嫌な人間、知人や教授にもヘテロもいればゲイ/レズビアンもいるのだ。やっぱり性格なんだな、と感じざるをえない。

一つ興味深いのは大学院の研究構造のエリアにも関連するだろう。フランスの歴史、哲学、芸術、文学、社会学を研究しているものにとって同性愛を抜かして語られるものがあるだろうか。いや、日本はあるだろう。むかーしからずーと同じ研究を繰り返し、新しいもの取り入れず延々と似たようなものの本を書いているような方がはびこっていたりするし。実際、こっちは数年に一度、どんなものを出版しているか、というのが
学部で審判され、なかなか似たようなものを(例えばXXXという人物についてばかりの似たようなテーマ)発表ばかりしていたらこちらの”tenure"(終身雇用みたいなものだがあくまでも審査にパスし続ける事が前提)も取り消しされてしまう。もちろん、出版し続けてないものは話にならないのである。だからこちらの研究者はまわりでなにが良く読まれているか、批判されているか、まあ流行を常にチェックしていないと
生き残れないのだ。

そういったシステムの上で町や州が違っても同じようなものをみんなが読んでいるし、
そのなかでも一番進んでいるところ、というのが存在している。
そしてヨーロッパなんかに頻繁に学会なんぞ行ったり来たりしたりすると勿論力関係が知識のレベルで出来たりするのだ。そんななか、同性愛の研究というのは主に70年代の終わりからフランスではやっぱりFoucaultがでてきて今は猫もしゃくしも勉強するようになっている。ゲイとしてカミングアウトしていたfoucaultに感化されたゲイもたくさんいるのは言うまでもない。

まあ、そんな人たちばかりではないが、こういった研究のシステム背景はかなり影響しているだろう。現在、少数派の意見や視野を無視してはいけない、という研究構造になっているなかで人種、階級、の次にでてくるのが性差、というセクシュアリティーである。この状況によって同性愛に全く興味のない(ヘテロ)セクシストの男女も、哲学や文学や社会学系のものなんぞ勉強していたら色々と読まなくてはならなくて、感化されるものもいれば指導教官に卒論に多少でも入れなさい、と言われても聞いて聞かぬふりをして卒論ディフェンスで注意されたりするのだ。

という背景のなか、もちろん異性愛でない物たちの恋愛事情というのは結構狭く、
色々と話はでてくる。一つなにかドキュメントを、というと筆者の良く知る教授Hは女性だが自分でfemme(いわゆるネコ)と宣言していてそのパートナーはbutch(タチ)だが女性から男性に性別を変えたトランスジェンダー(トランス)だ。二人とも中国系が入っているが一人は香港出身で一人はヨーロッパ出身、というカップルだ。遠距離ももう4年ほど続いている。大学教員も何度も行ったり来たりできるが、パートナーも芸術系の仕事なものでわりと自由に行き来している。かなり仲もいいし、butchの方が大人という印象だ。(このbutchさん、イギリスにいた時は日本人女性のSMの女王様と付き合っていた、ということ。いやあ、なかなか。そしてこの人はロンドンにもあるというユニクロの筆者と同じフリースを来ていた)。

しかしこのfemmeのHさん、最近は同じ学部のC教授に気持ちが動いているらしい。Cはレズビアンで同じ女性のパートナーと何十年も一緒で、新しい仕事場(大学)が変わる度にパートナーを連れて国まで超えたりしている。ただ、このc教授はworkaholicで凄い仕事量のためか、それとも仲が良すぎてイライラするのか、現在は別々のアパートで暮らしているらしい。HはCとセクシュアリティー研究の話が合うという事で良くお酒を飲みにいくらしい。そしてCがHを家に呼んで、Cのパートナーを紹介しようとしたら
パートナーは激しく拒み、家に帰ってしまったということ。そしてHは”この気持ちは相手にも通じていると思う。お互いパートナーがいるからどうにもできないけどそれは感じる”などと言っていたりする。

なかなか複雑だ。これはいわゆる”実らない恋愛だからこそさらに燃える”というやつか。しかし同じ教員同士、付き合ってはいけないはずだし。二つも実らない理由があると余計に燃えるのだろうか。まあ不思議だー。

だけど遠距離の相手が一番かわいそうだ。なにかしたかったり見たかったり聞きたかったりしてもなかなか思うようにいかないだろう。同じ町に住んでいるのとかなり違うと思うが。筆者からみるとCとHは実は合わないと思うのだ。Hは割と気が多く、積極的で相手を振り回したりする感じだし。筆者はいつも気を使ってあげないと、と感じさせる女性だったりする。Cはその点しっかりもので責任感の強い人物。まあ特にCには大学を離られては困るのでお互いに影響がなければいいのだが。

まあ、他にもある大学の教授が違う大学の教授と遠距離、などもよくある。最近驚いたのが日本の歴史を研究している女性が同じ大学の日本文化を研究している女性と長く付き合っていたのだが歴史学者が去年男性と婚約した、ということ。これはレズビアンだったら良くいう”男に走ったな、”ということだ。相手の文化研究者は長い事レズビアンで知られていたのでショック?だったのかも。しかし相手をみて男性でも女性でも惹かれていく、ということは良くわかる。詳しく聞くとその婚約相手はお医者さんで老化の進んだ母親の事を相談しているうちに仲良くなった、と。結婚するつもりだったがなんとその医者が重い病気で寝込んだ、ということ。それで婚約にとどまり、歴史学者は看病にはしっていることだ。

ここでまた思うのが同じ大学で確か同じ建物にあった歴史学部と文化研究学部。なんども会うだろうに、まあうまく和解したのかな。しかしこの二人とも、もうかなり上の教授でとうに50歳は過ぎている女性たちだ。人生色々、だ。

まあまだまだセクシュアリティー話はあるがまたの機会に。
by flowfree | 2005-06-04 15:37 | sexuality